NMNって何！？

　近年、機能性食品素材として注目を集めるNMNとは、Nicotinamide MonoNucleotide（ニコチンアミドモノヌクレオチド）の略称です。

　NMNは母乳に含まれているほか、枝豆やブロッコリーなどの野菜にも多く含まれています。体内ではビタミンB3（ナイアシン）から生成されるが、加齢に伴い量が減ってしまいます。10代後半をピークに減少していき、40代になるとピーク時の半分まで減少してしまいます。

　NMNを摂取すると体内でNAD+（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）に変換され、長寿遺伝子ともいわれるサーチュイン遺伝子を活性化することが知られています。マウスの実験では、肥満に伴う糖尿病予備軍（境界型糖尿病）の改善や老化に伴うミトコンドリアの機能低下の改善などが報告され、長期摂取では老化に伴う神経幹細胞の減少抑制（認知機能改善に効果期待）などが認められています。

～ハーバード大学医学部 デビッド・シンクレア教授の研究～

　生後22カ月のマウス（人間でいえば60歳にあたる）に、NMNを投与しました。すると1週間後に、生後6カ月のマウス（人間でいえば20歳にあたる）に相当する筋肉になっていたそうです。つまり、たった1週間という短期間で、実に40歳の若返りを果たしたのです。

～ヒトにおける臨床試験～

　2021年4月のScience誌にて、ヒトにおけるNMN投与の代謝効果を調べる世界初の臨床試験の成果を、米Washington University School of Medicineのグループが発表しました。この臨床試験では、閉経後女性へNMNを投与することで、骨格筋におけるインスリンによる血糖値の調整機能が改善するなどの作用が認められました。

　2022年5月には、東京大学の研究グループがNMN摂取によるサルコペニア（加齢に伴う筋肉量の減少および筋力の低下）の予防効果を発表しました。この研究では、健常な高齢男性を被験者として、1日当たり250mgのNMNを12週間経口摂取すると、歩行速度、握力などの運動機能が改善することが明らかとなりました。さらに、NMNの経口摂取により、聴力の改善傾向が見られることも分かりました。

　超高齢化社会ではサルコペニアの予防が大きな課題とされています。今回の研究結果から、NMNの経口摂取は加齢に伴う筋力低下の予防に有効的であり、予防医学につながると研究グループは考えているそうです。

※ブロッコリーの場合1日100mgのNMNを摂取しようとすると約40kg（約2000房）の量が必要になります。

　NMNにはまだ否定的な面は発見されていません。それどころか、眼の疾患や難聴、肝臓や心臓を守る作用があるとわかっています。また、肝臓がんにかかったマウスたちに投与したところ、腫瘍が消えた症例もあったそうです。まるで万能薬のようですが、世界中の研究室が確認している事実だそうです。

　上記の研究以外にもNMNを摂取することで、身体の見た目や機能が、まるで時計の針を戻すように劇的な変化を起こすことを突き止めた研究が次々と発表され、「若返りの薬」としても世界中で注目を集めています。

　ミトコンドリアが活性されることにより体内で効率的にエネルギーがつくられるので、体重減少などのダイエット効果もあるかもしれません。またスポーツ愛好家やアスリートにとってもパフォーマンスアップや体力、集中力の向上が期待できるかも。